知っておきたい【葬式】の手順~段取りと料金の節約方法とは?
親の死。突然訪れたその時、「どうしたらいいのか?」「何をしなければいけないのか?」と呆然としてしまう人も多いかと思います。
さらに、最近は近所付き合いが少なくなり、お隣さんが葬儀を手伝ってくれるようなこともなくなりました。そのため、家族内ですべて済ませる小規模な「家族葬」ですませることが多くなっているようです。
そこで今回は、私が経験した母の「家族葬」を通して、「逝去」⇒「葬儀」⇒「火葬」の各ポイントを抑えつつ、なるべく簡単にご紹介したいと思います。
親が亡くなる前にしておく事
まず強くお勧めしたいのが・・・
🔶親の死に対する備えは、生前からしておくことです。
なぜなら、生前に備えをしておけば、実際、親が死んだとき、大切なことを間違いなく行うことができますし、葬儀の経費を節約できるからです。詳しくは追って説明していきます。
また、備えを始める具体的な時期は、75歳を過ぎた親が大病で入院した時が目安かと思います。まず冷静になり、淡々と「備え」を始めておきましょう。そしてその手始めは、
🔶信頼のおける葬儀社の会員になることを検討することです。
なぜなら経費を大幅に浮かせられる可能性があるからです。
現代人は葬儀に直接携わる機会が少なくなっています。おのずと葬儀の段取りや費用に関して無知のまま親の葬儀を仕切らなければなりません。さらに、気持ちも動揺しているので、的確な判断をすることが難しくなります。かと言って、
🔶初めて会った葬儀屋さんの言われるがままにしてはいけません。後で大変後悔するかもしれないからです。
基本、素人は葬儀のもろもろの相場は知らないのが普通です。さらに親の死で浮ついてしまい、「専門家」の言うことを簡単に信用してしまうのです。あとで請求書を見て、驚くことになります。
遠方に住んでいた私の両親。母はパーキンソン病を患い、75歳を過ぎたころから介護施設にお世話に。そして80歳を過ぎ、気力、体力共に衰え始めたころ、父から聞いたのが、「大手葬儀社の会員」になったということでした
父が入会した葬儀社の会員費は、通常ひとり1万円ですが、夫婦ふたりで入会で割引となり二口で1万円。。積み立て金も年会費も要りません。さらに特典として、葬儀の際、費用が50万円ほど割引されるということです。
近年、葬儀に関する経費や料金を、分かり易くかつ明解に提示している葬儀社が増えてきました。ネットで検索すれば、各社サービスを詳しく知ることができ、都市圏ならば信用ができる大手のチェーンを利用することが可能です。
以下、私の父が入会した葬儀社のサービスの例に沿って、逝去から火葬への流れを追って振り返ります。(ご紹介するのはあくまで一例で、宗教・宗派や地域や葬儀社によって違います)
母が亡くなった当日~DAY①
その日の午後4時。職場に弟から電話が入り、母の死を知らされました。仕事を済ませて、新幹線に飛び乗りました。
①遺体搬送~タクシーじゃ運べないですよ!
一方、母の遺体は一旦、病院の安置所へ。その間に父が登録している葬儀社に連絡しました。🔶寝台車の手配は、会員の無料サービスに入っているのです。
このあたりで、必ず確保しなければならいのが、担当医が作成する「死亡診断書」です。後々いろいろなところで必要ですので、病院か近くのコンビニで5部ぐらいコピーしておくといいでしょう。
そうしている間に、葬儀社が手配した寝台車(*)が到着し、遺体は速やかに葬儀社へ搬送となりました。自宅で通夜を行う場合は、自宅に搬送することになります。
②遺体安置~故人と自宅の雰囲気で最後の時間を過ごせる
私が葬儀社に到着すると、母の遺体は二階葬儀場の片隅にある6畳部屋に安置されていました。遺体は既に白装束となり、布団に寝かせてありました。頭の上側には線香とろうそく。そして、布団の中には腐敗を防ぐ保冷剤が入れてあったようです。
その夜から、翌々日の初七日法要が終わるまで、父と私はここで寝泊まりすることになりました。布団は必要な分だけ有料で借りることができます。
③葬儀の打ち合わせ~これがすべてを決する大事な時間
老いた父が喪主、そして私は補佐をすることになりました。そこへ、葬儀社の担当者二人が部屋を訪れ、打ち合わせが始まりました。主な項目は以下の通りです。
<通夜と葬儀にスケジュール>
まず通夜と葬儀の時間を決定。通夜が翌日の夜、葬儀が翌々日の午前。次は葬儀に参列者の人数です。この段階では、当然ハッキリした人数は分かりません。とりあえず、大まかな人数を伝えました。
<祭壇など飾り付けについて>
値段的に一番心配していたのはこれです。担当者に見せられたパンフレットには約40万~200万の数種類の祭壇が載っており、これから選ぶ形式です。これなら一つ一つ飾りを指定する手間も省けますが、逆にカスタマイズはできません。
結局、父が「お母さんを華やかに送ってあげたい」ということで、約160万のものを発注しました。さらに祭壇の両側に置く花飾りもなども、別個に発注しなければなりませんでした。あとで思ったのは・・・
🔶葬儀社と打ち合わせをする前に、予め葬儀全体にかけられる予算を家族で共有しておくことです。
<その他の品目>
葬儀関係が終わると、立て続けに以下の品目などについて決定をしなければいけませんでした。
- 棺桶と骨壺・・・分骨希望だったので、骨壺は2個発注
- 霊柩車・・・火葬場への運搬のために、シックな黒の霊柩車を発注
- 遺影写真・・・遺影でつかる写真を用意することに。
- 料理・・・通夜の軽食と精進落とし(法要後の料理)
- 湯灌(ゆかん)の有無・・・遺体を丁寧に清める作業
- お礼の引き物・・・最後に参列者に渡す品
- マイクロバス・・・火葬場と行き来をするマイクロバスを発注
ところが、この葬儀社の会員になっていた特典として、棺桶と骨壺、霊柩車、慰霊写真は、無料でサービスを受けられました。
🔶葬儀の全体を取り決める葬儀社との打ち合わせは、非常に重要です。個々の金額やその範囲を納得のいくまで確認しましょう。できるならば、しっかりメモをとっておくことをお勧めします。
④僧侶と親族への連絡
我が家の菩提寺は、電車で2時間以上離れた町にあります。父が電話でご住職に葬儀でのお勤めをお願いしましたが、スケジュールの都合で叶わず。それを葬儀社に相談すると・・・
🔶宗派に合致した僧侶を手配してくれました。
今回は「家族葬」として行うため、ごく限られた親族に訃報を連絡。通夜および葬儀の参列をお願いしました。結局、葬儀では家族以外、10人程度の参列が得られました。
母が亡くなった翌日~DAY②
⑤火葬の手続き~許可証を事前に取得すること
火葬は市の火葬場を利用しましたが、あらかじめ予約が必要です。また、火葬する際には、「埋火葬許可証」というものが必要になります。これは、役所に「死亡診断書」と印鑑を使って「死亡届の手続き」をすると受け取ることができます。
⑥通夜~6畳間で自宅の感じ漂う
その夜、通夜を遺体が安置されている居間で行いました。僧侶、そして私を含む遺族、そして親族4人が参列。
その夜、親族4人がそのまま泊まってくれることになり、遺体が安置されている居間のとなりの6畳に布団が運び込まれました。部屋代は無料で、布団だけがレンタル料がかかりました。
母が亡くなった翌々日~DAY③
⑦葬儀の準備~初めて見た湯灌(ゆかん)
遺体を棺桶に収める前に、体を清める湯灌(ゆかん) を二人の作業の方にしてもらいました。その途中で親族の立ち合いが許され、今まで見たこともない「三途の川」を渡るための身支度を、説明付きで見ることができました。
また、葬儀の進行を行う司会者との打ち合わせを、喪主の補佐である私が行いました。母親との思い出や性格について情報を提供。最後の別れのアナウンスに役立ててもらうわけです。その時、BGMとして流れる曲として故人の好きな歌を含め2曲ほどリクエストしました。貴重な時間のムードを演出するためなので・・・
🔶予め親が好きな歌や曲を知っておくことは結構大切です。
⑧葬儀~参列者は少ないが、豪華な祭壇で華やかに
葬儀に参列したのは合計15人。人数が少なかったので、席順などは直前に決めることができました。僧侶のお経、焼香、そして僧侶のお話で葬儀は終了。喪主の挨拶に続き、別れの時間と出棺。先ほどのリクエストした曲が流れ、参列者の別れの言葉が飛び交います。
🔶喪主は注目を浴びるので、補佐役が葬儀社の担当と連携が重要です。
儀式自体は、およそ30~40分ぐらいの質素なものでしたが、 スムーズな進行を促す葬儀社の担当者に要所要所で助けられました。
⑨火葬~バーナーの激しい音が記憶に残る
霊柩車は黒塗りのベンツ。昔ながらの神道や仏教の建物様式を模した宮型霊柩車ではなく、シンプルな黒塗りのワゴンスタイルを選択しました。
火葬場の入り口で、「埋火葬許可書」を提出し、火葬執行済みの証明印が捺印され戻ってきます。母は町の市民だったため火葬料金は8000円(火葬料金5000円と待合室料3000円)でした。
火葬場で遺体が指定の炉に入れられ、そのカギを受け取ると、一同は別の建物内の待合室へ。そこで一時間ぐらい待機した後、再び炉のところへ。
係員によって引き出された母は、からすっかり骨だけに。参列者が少ないこともあり、全員で骨上げを行い、分骨のため2つの骨壺に収めました。ただ、このとき誰がどの順番で骨上げをするのか、なかなか決まらず、係員をイライラさせてしまいました。ですから・・・
🔶骨上げの順番は、待合室で待機している間に決めておくといいでしょう。
⑩初七日法要~同日に済ませてもOK
骨壺を伴って、参列者は手配したマイクロバスで再び葬儀社に戻ります。同じ祭壇に、今度は遺骨と位牌を並べて、同じ僧侶によって初七日法要を行いました。こちらは時間は葬儀より短く、30分以内に終わったかと思います。
法要後は喪主と共に別室で僧侶にお礼の挨拶。お礼の品(お茶)とお布施として3万円をお渡ししました。なんとこれには戒名代も含むお布施。
🔶僧侶へのお布施の金額は決まっていませんが、あらかじめ葬儀社の担当者に参考額を聞いておくといいでしょう。
(しかし後日、その戒名を格上げするために、追加で十倍のお布施を再びお渡しすることになりましたが)
一方、参列者は別の部屋に移動して、「精進落とし」をいただきます。それも1時間ぐらいで終わり、皆さんにお礼の引き物をお渡しして解散となりました。
まとめ
今回のご紹介した葬儀社の会員サービスを利用しながらも、火葬も含め葬儀全体でかかった費用は約180万円にもなりました。(もし非会員の場合だと、約50万余分にかかっていたといいます)結構な金額になってしまった原因は、やはり祭壇のチョイスです。一番簡易なものだと、40万ぐらいだったので、ここだけで50万以上の差になりました。ですから、
🔶祭壇選びの際は、くれぐれもご注意ください。
また、家族葬だからと言って安く済むわけではなく、参列者が少ない分、香典などによる入りも少なくなります。今回の葬儀・通夜では、50万円程の入りだったので、結局大きいマイナスとなってしまいました。
繰り返しになりますが、もし将来、喪主になる立場である場合は、一連の流れととともに、葬儀社のサイトを見ながら予算感を養っておくことが、大切だとつくずく思いました。■
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