【5G】は、いつからスマホで使えるのか?~通信速度は100倍に!
日進月歩の勢いで進歩するスマーフォン。いま業界が特に盛り上げようとしているのが、来年か導入される「5G」。ただ、「名前はよく聞くけど、いったい何のこと?」「どのぐらい速くなるの?」「いつから始まるの?」という疑問を持たれている人が多いと思います。
そこで今回は、サービスが始まる前に知っておきたい「5G」についての“いろは”から、人に自慢できそうな耳寄りな情報までサクッとご紹介します。(参考:総務省資料)
そもそも5Gとは何ですか?
まず5Gという言葉は何を意味するのでしょう。
「G」は、generation=世代の頭文字です。そして「5」は、5世代目という意味です。
つまり、「5G」とは、5世代目のモバイル(移動)通信規格ということになります。1Gから5Gまでを、簡単にまとめると以下の通りになります。
世代 | 開始年 | 速度(目安) | 特 徴 |
1G | 1979年 | 2.4 kbps | アナログ方式 通話専用 |
2G | 1993年 | 28.8 kbps | デジタル方式 メールやネット使用 |
3G | 2001年 | 数~14 mbps | 通信端末でウェブ閲覧 |
4G | 2010年 | 100 Mbps~ | スマホで映像視聴可 |
5G | 2020年 | 10 Gbps~ | ? |
それでは、「5G」にはどういう特徴があるのでしょうか。また、現在使われている「4G」と何が違うのでしょうか。主なポイントは3つあります。
- 高速で大容量
- 超低遅延
- 多数同時接続
まず最初は、すでに多くの人が認識している特徴。5Gは、4Gに比べてとても「高速」であることです。具体的な速さは、単純計算で4Gの100倍以上です。
二つ目は「超低遅延」。これは高速であることと関連しますが、通信の送り手と受け手の間で起きるタイムラグがとても短くなるということです。
現在でも、スマホ同士で話をしていると、若干の遅れに違和感を感じたことがあるのではないでしょうか。これが5Gになると、互いに向き合って話をしていると思う程、ほとんど遅れを感になくなるということです。
三つ目の特徴は、「多数同時接続」。同時にたくさんの端末につなぐことが可能になります。その数は、1平方キロメートル当たり機器100万台とも言われています。私たちの生活レベルとしては、今までスマホやPCだけにつなげていた通信を、Wifi以上の精度で、家電や各種センサーなど身の回りの機器につなぐことができるのです。
5Gの高速化で何が変わるの?
この3つの特徴の中でやはり一番気になるのはその速さでしょう。5Gで獲得できる「高速」は、私たちにどんな変化をもたらすのでしょうか。
5Gのモバイル送信スピードは10GBps(1秒で10ギガバイト分の情報を送るスピード)と言われても、分からない人が多いかと思います。そこで実際の例でご説明しましょう。
2000年代に入ってから、4Gの導入によって可能になったのは、スマホで手軽に動画が見られるようになったこと。現在の4G(LTE)による映画のダウンロードの所要時間は約5分。それが5Gを使うと、何と約3秒で出来てしまうのです。
また近年、映像の高画質化が進んでいます。巷でよく言われている「4K」や「8K」と呼ばれているものです。これらはそれぞれ「4000」と「8000」という意味ですが、映像の水平画素数を表しています。現在のフルハイビジョン(1080HD)を同じように表現すると「2K」となります。
単純計算で2Kの映像に比べ「4K」は2倍、「8K」は16倍の情報量があるわけですが、5Gをもってすれば、スマホのレベルでも送受信ができるようになるのです。(もちろんスマホに機能が必要ですが)
5Gで新たに何ができるの?
ここまでの話だけですと、「5Gは今まで通り通信速度が速くなるだけね」と早合点される方も多いかもしれません。しかし、
5Gは、社会に大変革をもたらすと言われているのです。
そのカギを握ぎっているのが、上記の特徴の2番目「超低遅延」と3番目「多数同時接続」です。業界でよく登場する2つの例をご紹介しましょう。
クルマの自動運転
近年のAI技術の発達によって開発が進んでいるものにクルマの自動運転があります。主な大手自動車メーカーが熾烈な開発競争を繰り広げていますが、その上で大きな役割を担うのが5Gです。
自動運転を実現するには非常に多くの情報が必要になります。車両の運転状況、道路など環境状況、そして交通状況などです。これらの情報を分析して的確な運転動作が自動で決定されることになります。
しかし、この分析作業を車両で完結することは難しく、別のところにあるサーバーに情報を送って行うことになります。つまり、自動車とサーバーの間で絶えずデータのやり取りをするのです。
そこで、必要になるのが高速なデータ通信です。
ことはクルマの運転です。周囲の状況を瞬時に判断して、絶えず的確な判断をすることが求められます。さもなければ、人命にかかわる事故を起こしかねません。そのため、自動運転には高速、大容量、そして超低遅延のデータ通信が不可欠な要素と言えるのです。
⇒自動運転の実現については、別の記事をご覧ください。
【自動運転のタクシー】はいつ乗れる?~実用化の目途
重機などの遠隔操作
自動運転は5G以外にもAIを含め様々な技術が必要になるため、実用化にはまだまだ時間が掛かりそうです。しかし、「超低遅延」という特徴をダイレクトに生かして実用化に向けて期待が集まってのいるジャンルがあります。
重機やロボットなどの遠隔操作です。
建設現場ではいままでも重機の遠隔操作はありました。しかし、WiFiなどで通信を行っていた関係で、十分な低遅延が実現できず、スムーズな作業ができなかったといいます。また、危険を伴う作業のため、ちょっとした操作のずれが大事故につながる可能性があります。
そこで5Gです。低遅延が必要なレベルまで実現できるので、オペレータは遠隔地でも違和感を感じつことなく、作業をできるようになります。また、重機の周り状況も4Kや8Kのクリアーな映像で確認することが出来るのもメリットです。
特に人手不足がますます深刻になると言われる建設業界。オペレータが一か所から、別々の現場の重機を遠隔作業することは、今後は当たり前の作業になると思われます。
また、遠隔操作で期待されているのが医療分野です。人口減少や過疎化によって都市と地方の医療格差が広がっています。そうしたなか、遅延が絶対許されない外科手術をはじめ、様々な遠隔医療が5Gによって実現されることが期待されています。
いつから使えるの?
日常生活から社会の課題まで、活用分野が多岐にわたる5G。最後に「いったいいつから使えるようになるの?」という疑問にお答えしましょう。
3大キャリアーが本サービスを始めるのは、2020年春からです。
具体的には、3月ごろから各社の店頭で5G対応のスマホの販売が始まります。
また本サービスを前、テスト的に一般に公開する「プレサービス」については、NTTドコモとKDDIが9月からを予定しています。特にドコモは、今年日本で行われる「ラグビーワールドカップ2019」を契機に、試合のライブビューイングやマルチアングルなどを5Gを使って展開するとしています。
一方、KDDIは一般向けのプレサービスの予定はない様子。ソフトバングはプレサービスについては検討中とのことです。
来年の東京オリンピックに向けて、各社とも5Gを盛り上げるべく、イベントや広告などで一般へのさらなる浸透を目指していくことでしょう。ただ、これまでご紹介した5Gの恩恵を大多数の人が享受できるのは、2021年の後半になると言われています。その理由は・・・
- 「低遅延」と「多接続」に関する世界基準の仕様が確定していない。
- 基地局のカバーエリアが十分でない。
さらに本格的に大容量の施設が整備され5G通信が完成の域に達するのは2023年ごろだとされています。
どちらにしても、「5G」に加え、家電や機器がネットにつながる「IoT」と「AI」の連携によって、私たちの生活スタイルは数年でガラリと変わるのは間違いないようです。■
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