朝ドラ【なつぞら】視聴率ダウンの予感~面白さ半減の理由は?
50話を過ぎても平均視聴率20%をキープしているNHKの朝ドラ「なつぞら」。「東京編」になってから主人公・なつ(広瀬すず)の新たな挑戦が描かれているが、「何となく面白くなくなった」とか「見た後、すっきりしない」と感じている人も多いのではないのでしょうか。その主な理由として上げたいのは、以下の3つのポイントです。
- 味気のないストーリーになった
- 脇役陣のパワーダウン
- 昔いパターンの繰り返し
これらのポイントについて、ひとつひとつ詳しく説明したいと思います。
「東京編」で変わった物語のトーン
「なつぞら」の魅力ダウンにつながっている第一の理由は・・・
なつを取り巻く事情が単純になり、味気なくなったということです。
北海道編では、なつは複雑な状況に置かれていました。孤児であるがゆえに、やむなく柴田家にお世話なっていたため、「わたしは本当は家族ではない」という現実との葛藤を抱きつつ、人生の師匠とも言える泰樹(草刈正雄)に開拓者魂を伝授されるという展開。なつを取り巻く人々も、「なつにどう接したらいいのか」を絶えず考えざる得ない、大変濃厚な展開が続いていました。
しかし、東京編になってからなつを取り巻く事情はガラリと変わります。アニメーターになる夢に向かう自由を手に入れ、普通ならとても厳しい東京生活も周りの人の手厚い援助で何の苦労もなくスタートします。また、あれだけ会えなかった兄・咲太郎も難なく再登場してしまうなど、「なつ、頑張れ」と思うチャンスもないほど、ドラマとして旨味のないストーリーになっているのです。
前回の記事で、「なつぞら」の面白さについて書きました。ドラマを楽しむためには「主人公に親近感」を抱かなくてはなりません。トントン拍子で生活する主人公に対しては、「厳しい東京なのに、そんなに簡単にコトが運ぶわけ?」と思うにとどまり、視聴者の気持ちは離れてしまうわけです。
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なつを引き上げる脇役がいなくなった
次にあげたい理由が・・・
「東京編」になり脇役陣がパワーダウンしてしまったことです。
それに伴い、ドラマの期待がなつに過剰に集中し、それになつが十分が応えられない状態になっているのです。
脇役陣の一番大きい変化は、泰樹の登場がほとんどなくなったことです。泰樹はなつの“ライバル”であり、第二の主人公とも言える大きい存在でした。草刈さんの味のある演技につられて、なつ役の広瀬さんの演技力も引き上げらる効果もあり、二人のシーンは「北海道編」の見せ場でもあったのです。
さらに、「北海道編」ではさまざまな登場人物が、それぞれ役割を果たしつつ、なつを中心に絶妙なハーモニーを作り上げていました。押しが強い草刈さんの演技とは対照的に、里親役の松嶋菜々子さんのメリハリの利いた演技もこのドラマの支えになっていました。
ところが「東京編」となると、脇役陣の様相が一変してしまいます。まず、なつの母親ともいえる役が、東京では川村屋のマダム(比嘉愛未)にバトンタッチ。しかし、彼女の演技も含めその役割を果たし切っていません。他に、岸川亜矢美(山口智子)や煙カスミ(戸田恵子)などの人物も、これまでのトーンにうまく溶け込めず、奇異なキャラだけが目立ってしまっているようです。(それが混沌とした都会の姿を表しているのかも)
その結果、なつのライバルとなり、深くからむ人物が、誰もいなくなってしましました。これではなつの魅力を引き出すことはできません。
レトロなストーリー展開にうんざり
最後に上げたい理由は・・・
昔の安易なパターンを繰り返していることです。
さらに視聴者を冷めさせているのが、岡田さんの大げさで分かり易いレトロな演技。ただそれは彼のせいではありません。脚本に乗っ取った演出が、コントのような演技を彼に求めているのですから。
その担い手になっているのが、なつの兄・咲太郎(岡田将生)です。粗暴で無鉄砲、そして早とちりのトラブルメーカーです。そんな脇役に主人公が繰り返し振り回せれるわけです。もし「北海道編」のなつだったら、思ったことをビシッと言って終わりなのですが、「東京編」のなつは、的が外れた反応をするだけで野放し状態。昔のホームドラマによくあった“お約束のパターン”が止まりません。
もしドラマが最初からこのパターンを繰り返すレベルだったとしたら、特に違和感もなかったでしょう。しかし、「北海道編」のレベルは高かったのです。そのせいで「東京編」で展開されるスタイルは、時間稼ぎのお茶濁しになっているだけで、主人公としてのなつの存在感は薄まるばかりです。
再びなつを主人公の姿に!
6月3日からの第9週で、なつがいよいよアニメーション業界に入ることになりそうです。視聴者の一人として望むことは、夢に向かって挑戦するなつの姿を見せてほしいということです。兄の咲太郎やその周りの人物の裏話をほどほどにして、東洋動画での仕事場のシーンが多くなれば、再びなつが主人公として魅力を発揮してくれるでしょう。■
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