2分で習得する【写真撮影】の方法~人物のサイズを決めよう!

2分で習得する【写真撮影】の方法~人物のサイズを決めよう!

スマホの普及で手軽になった写真や動画の撮影。カメラの性能も良くなり、シャッターを切る回数が以前より増えたのではないでしょうか。しかし、膨大に保存された写真や動画を後で落ち着いて見直すと、見るに堪えないことはよくあることです。

大切な人や思い出の風景をせっかく撮るなら、少しでも美しく、そして恰好良いかたちで、永遠に残したいですね。そうすれば、他人に見せた時でも、感動がより伝えらるはずです。

そこで、このシリーズでは、誰でも簡単に写真や動画のクオリティーを上げることができるノウハウを、分かりやすくご紹介していこうと思います。

今回のテーマは、撮影対象として最も多い「人物の撮影」についてお届けします。早速、始めましょう。

①まず決める、人物のサイズ

友達を撮る際でも自撮りでも、人物を撮影するのに「心地がいいサイズ」があるのはご存知ですか。

実は、あなたが日ごろ何気なく見ている映画や雑誌の写真でも、基本的に同じルールに沿って人物のサイズ(フレーミング)を決められています。

今回は、分かりやすくご説明するために、「1人の人物」の撮影についてみていきましょう。

1人を撮影したショットのことを、一般に「ワンショット」と言います。すこし専門の人だと「シングルショット」(シングル=単体)と言ったりします。

時に「ワンショット」は、人間以外でも使うことがあります。動物でもそうですし、単なるオブジェ(もの)でもそう言ったりします。例えば、「あの猫のワンショットを撮ろうか」といった具合です。

人を撮影するとき、その人物の何を写真(動画)に収めたいのか、できるだけ意識するようにしましょう。その目的にために、どのサイズが適当なのか考えると、同じ人物の撮影でも楽しさが広がるはずです。

ワンショットには、大きく分けて以下の5つのサイズがあります。(「サイズ」という言葉の代わりに、部分を切り取る「フレーミング」という言葉を使うことがあります)

  • A:クローズアップ
  • B:バストショット
  • C:ウエストショット
  • D:ニーショット
  • E:フルショット

ただ、「いちいち言葉を覚えるのは、めんどくさいな」と思う心配はありません。大事なのは用語ではなく、「そういうサイズなんだ」、「こういう種類があるんだ」と漠然と知ってもらえればOKです。

A:クローズアップ

「クローズ」は「近く」で、「アップ」は「上へとか、上限へ」ですから、簡単に言いますと「近くに寄り切る」という意味になるでしょうか。対象が人物の場合は、普通は「顔に寄ったサイズ」になります。

頭の天辺から、顔全体が収まるサイズです。

クローズアップ

このサイズで注意したいのは2点。①首を切りすぎないこと。そして、②頭の上を開けすぎないことです。(上の写真参照)

なお、このサイズより更にアップにしたものに、「エクストリーム・クローズアップ」があります。つまり「極端なクローズアップ」ということ。このサイズで注意したいのが、顎の末端を残したまま、アップにするということです。

それがどうして大切なのか、実際に比較した写真を用意しました。どうでしょうか、左の顎を入れた方が、人物に安定感があると思いませんか。

また、更に目や口をアップしたものもありますが、映画やドラマなどの中での特殊な表現以外では、あまり使われることはありません。

B:バストショット

誰かに、「人物の寄りで撮って」と言ったら、このサイズ。人物の標準的なサイズということになります。

「バスト」=胸の辺りを底辺にして、人物を捉えるサイズです。

バストショット

このサイズは、顔の表情はある程度捉えながらも、腕が肘まで写ります。人物の手の仕草も入りますので、人柄をさらに表すことができます。

また、動画の場合、被写体の人が座っているのであれば、多少動いていても対応が可能です。テレビなどのインタビューの場合、このサイズが多用されます。

C:ウエストショット

一般の人が、人物を撮るとしたらこのサイズではないでしょうか。フォーカス(ピント)を心配することなく、人物の主要な部分を収められます。具体的に言いますと、

「ウエスト」=腰の辺りを底辺にして、人物を収めるサイズです。

ウエストショット

顔の表情は更に小さくなり、感情の情報量は減りますが、その分、体の半分をカバーすることができ、上半身の動きを捉えることができます。

このサイズは、上半身を隈なく収めているので、人物が着ている服などの趣味も表現することができます。また、座りながら激しく動いている人物、例えばピアノの演奏などを撮影する場合は、鍵盤上の手の動きも収めることができます。

D:ニーショット

もうお分かりですね。これは、

「ニー」、つまり膝のところで切るサイズです。

ニーショット

一般にはあまり使われるサイズではないのですが、ファッション雑誌などで見ることがあるでしょう。

体のラインを捉えながら、辛うじて人物の表情を見せることができます。また、このサイズはあまり厳密には考えられていないようで、腿の真ん中で切り取る写真も多く見られます。

このサイズの利点は、「さらにピントの心配が少ない」ということです。ピントはサイズがアップになるほど、合わせられる領域が狭くなるからです。

E:フルショット

下の写真をご覧の通り、

体全体を漏れなく捉えたサイズです。

フルショット

このサイズの利点は、とくに動画の場合、人物の動きに対応できることです。たとえ、人物が突然走りだしても、それを追うことが可能です。写真でも、このサイズで待っていれば、動きのいい瞬間を逃すリスクは低くなります

残念なことは、このサイズになると、顔が非常に小さくなるので、画面全体のサイズが小さい場合、表情が良く分からなくなります。(実際、上の写真の女性の喜怒哀楽はよくわかりませんね)

以上、ご紹介したサイズは、あくまで目安になる指針です。あなたの表現を束縛するものではありませんので、それだけは忘れないでください。

②カメラのアングルとは?

サイズの次に重要になってくるのが、カメラの「アングル」です。つまり、「角度」です。どこから、被写体を撮影するかということ

人物のサイズを意識する人は比較的多いですが、カメラに角度をつける人はあまりいないと思います。ただ、サイズにアングルを加えるだけで、人物のイメージを更に強調することができます。

基本的にアングルは、次の3つに分けられます。

A:普通のショット 

「普通」という名前を付ける必要もないほど、皆さんが無意識にとっているアングルです。具体的に言いますと、撮影する人物の目の高さと同じ高さにカメラを構えることです。

普通のショット

このショットの効果は、撮影する人物と同じ目の高さであるために、親近感を表現する効果があります。(敢えて言うことでもないですが)

B : 煽(あお)りショット

煽りショット

このショットは、カメラを撮影する人物の目の高さより低い位置から撮影するショットです。効果としては、人物に偉そうなイメージを与えることができます。いわゆる「上から目線」というわけです。その他の表現イメージとしては、「自信」「力」「威厳」などですね。

C : 俯瞰(ふかん)ショット

このショットは、カメラを撮影する人物より高い位置から撮影するショットです。カメラが人物を見下ろす感じになります。このアングルから生まれるイメージ効果は、「抑圧」「消沈」など、人物の弱さを強調できます。

俯瞰ショット

人物を小さく収めることによって、人物の「孤独」を表現したり、カメラがまるで「神の目」のようになり、人物を客観視する形になります。

③人物とモノを配置しよう

人物を何度も撮っていると、その内、満足できないようになりますよね。もし、あなたに美的センスが少しでもあれば、その気持ちは更に強くなるでしょう。

そこで、表現の幅を広げるために「サイズ」、「アングル」を意識するとともに、試してほしいのが、「人物の配置」です。

普通、人物の後ろには風景やオブジェなど、一緒に収めたいモノがあると思います。それをうまく生かしながら人物を配置すると、さらに趣の深い映像が出来上がりますよね。

簡単な配置のパターンとしては、人物を右が左に寄せて、空いたスペースに後ろの風景、またはオブジェを入れ込む方法です。

ただ、注意してほしいのは、あくまで主役は人物ですから、バックの被写体が出しゃばり過ぎてはいけません。下の写真を見てください。

女性と掲示板

後ろの掲示板を見せるため、女性は左に寄せています。掲示板は派手ですが、女性の鼻と左肩が被さっているため、あくまで女子が主役になっています。

またバックの風景やオブジェが強烈な場合、前の人物が負けてしまう場合があります。その時は、人物を引き立たせるために後景をぼかす手法があります。(これを専門用語で「ボケ表現」と言ったりします)

ボケ表現

上の写真は、後景のビーチのカーブを左に入れるために男性を右に寄せたショットです。ただ、ビーチより男性を引き立たせたいので、後景をピントをボカシています。

この“プロっぽい効果”は、できるだけ望遠レンズをズームインして人物を撮影すると可能になります。時間があるときに、ぜひ試してください。

まとめ

人物を撮影する時には、その人物の何を表現したいかを意識するようにしましょう。そうすれば、それを実現するために、「サイズ」「アングル」「カメラの角度」そして「人物の配置」をどうすればいいのか、おのずと分かってくるようになります。

ただ、映っていればいいと直ぐシャッターを押すのは止めて、2~3秒で構いませんので、「もう少しいい感じにするには、どうしたいいのだろう」と自問自答してください。それを繰り返せば、自然にワンランク上の写真や動画が撮れるようになります。

次回は、モノや風景の撮影のノウハウをご紹介しますので、ご期待ください。■

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